海面上昇だけじゃないキリバスの現状
南太平洋には多くの島があります。
その中の33の島々によって構成されているのがキリバス共和国です。
ギルバード諸島、フェニックス諸島、ライン諸島からなり、国土は811平方キロメートルと小さいのですが、西端のバナバ島から東端のクリスマス島の東西が3,870km、北端のワシントン島と南端のフリント島が2,050kmと広大な水域を所有しており、排他的経済水域は世界第三位です。
サンゴ礁の島のため、農作物の栽培に適しておらず、漁業技術も発達していないため、畜産業や観光業がおもな産業となっています。
キリバス共和国は海面上昇による水没の危機にある国として挙げられることが多いです。
実際、キリバス周辺の海は毎年数ミリずつ海面が上昇していて、2050年までに首都であるタラワのあるタラワ島の8割が2050年までに浸水すると言われています。
移住という選択肢も検討されていて、すでにフィジーが全キリバス人の移住を受け入れると表明しています。
ただ、キリバスの問題は水没だけではありません。
水没していない現在であっても、小さな島国であるキリバス共和国は世界的な気候変動の影響が大きいのです。
台風の巨大化や高潮により島中が洪水状態になるかと思えば、降雨不足で干ばつになり深刻な水不足になったりします。
ヤシの木は海水が浸水すると根から枯れて行ってしまいます。
サンゴの島だけに水の貯蔵量が少なく、干ばつによる影響は大きいです。
また、海水温の上昇により、サンゴ礁が減少し、海の生態系も変化して、獲れる魚も少しずつ変わってきています。
世界中で捨てられたプラスチックゴミは海洋ゴミとなり、キリバスにも流れ着いてきています。
キリバスというと海面上昇により水没するということだけに目が行きがちですが、このように、世界中の環境問題が小さな島国に与える影響は少なくありません。