春は短くなっている？秋も短くなっている？

日本において、春や秋が短くなっているという実感を持つ人は多いのではないでしょうか。

かつて春と秋は穏やかで過ごしやすい時期として楽しまれていましたが、近年ではその期間が短縮され、すぐに暑い夏や寒い冬へと移行してしまうように感じられます。

これは単なる感覚の問題ではなく、実際に気象データを見てもその傾向があることがわかります。

例えば、東京の3月や4月の気温を見てみると、3月の上旬までは冬の寒さが続き、厚手のコートが必要な日が多いのですが、中旬から下旬になると突然気温が上昇し、初夏のような陽気になることがあります。

4月に入るとさらに気温が上がり、日によっては夏日（25度以上）になることも珍しくありません。

これにより、春らしい穏やかな陽気が楽しめる期間が短くなり、春服を着る機会も減ってしまいます。

桜の開花時期も早まる傾向があり、かつては4月上旬が見頃だった地域でも3月末には満開になってしまい、春の訪れが急速に進んでいることを実感させられます。

また、秋についても同様の傾向が見られます。

9月に入っても真夏のような暑さが続き、10月にようやく涼しくなり始めるものの、その涼しさを感じられるのはわずか数週間程度で、11月には冬のような寒さが訪れることが増えています。

特に近年では、10月でも30度近い気温になる日があり、「秋らしい気候」を感じることができる期間が極端に短くなってしまっています。

紅葉の時期も徐々に遅くなっており、かつては10月下旬から11月上旬が見頃だった紅葉が、11月中旬から下旬にずれ込むことも珍しくなくなっています。

こうした変化により、秋の風情をじっくり楽しむ時間が減ってしまったと感じる人も多いでしょう。

では、「春らしい日」とはどのような日を指すのでしょうか。

一般的には、寒さが和らぎ、日中の気温が15度から20度程度の穏やかな陽気で、梅や桜が咲き始める頃を指すことが多いでしょう。

朝晩は少し冷えるものの、日差しが暖かく、外を歩くのが心地よい時期です。

春風がそよぎ、花々が咲き誇る景色を楽しめることも、春らしさを感じさせる要素の一つです。

しかし、近年ではこうした穏やかな春の気候があっという間に過ぎてしまい、春を十分に感じる間もなく夏の暑さに突入してしまうことが増えているのです。

同様に、「秋らしい日」とは、暑さが和らぎ、空気が澄んで過ごしやすい気候の日を指します。

気温は20度前後で、湿度が下がり、日差しは柔らかく、空が高く感じられる時期です。

朝晩は少し肌寒さを感じるものの、日中は軽い上着で快適に過ごせるのが秋の魅力といえます。

また、紅葉が進み、木々が赤や黄色に色づく風景も秋らしさを演出します。

しかし、近年では夏の暑さが長引くために秋の訪れが遅れ、その結果、秋らしい気候を楽しめる期間が非常に短くなってしまっているのです。

このように春と秋が短くなっている一方で、猛暑の夏と寒い冬が増えていることも確かです。

夏はかつてのように30度前後の暑さではなく、35度以上の猛暑日が連日続くことが珍しくなくなりました。

特に都市部ではヒートアイランド現象も影響し、夜になっても気温が下がらず、熱帯夜（最低気温が25度以上の日）が増えています。

これは体力的にも厳しく、熱中症のリスクも高まります。

また、昔は8月が最も暑い時期でしたが、現在では7月から9月まで長期間にわたって猛暑が続くことが当たり前になっており、夏の終わりが見えにくくなってきています。

一方、冬は寒波の影響で極端に冷え込むことが増えています。

北海道や東北地方では記録的な大雪に見舞われることもあり、都市部でも突然の寒波により平年よりも低い気温が観測されることがあります。

特に、寒暖差が激しくなることが特徴的で、ある日は比較的暖かくても翌日には急激に冷え込むことがあり、体調管理が難しくなっています。

こうした気候の変化は、単に個人の体感だけでなく、農作物の生育にも影響を及ぼしており、異常気象による収穫量の減少や品質の変化が懸念されるようになっています。

このように、日本の四季は確実に変化しており、春と秋が短くなり、夏と冬が極端になってきています。

これには地球温暖化の影響が大きく関係しており、今後もこの傾向が続く可能性が高いと考えられます。

私たちは、こうした気候変動に適応しながら、春や秋の短い期間をより大切にし、季節の移り変わりを感じる工夫をしていくことが求められるのかもしれません。