花粉症は昔より増えている？花粉症が増えた理由と花粉対策とは

昔に比べて、現代では花粉症に悩む人が増えていますが、その理由にはいくつかの要因が関係しています。

まず、「昔は花粉症というものがなかったのか？」という疑問についてですが、実際には花粉症そのものは昔から存在していました。

ただし、現在のように広く認知されていなかったため、症状があっても別の病気や体質の問題として捉えられていたのです。

例えば、江戸時代の書物には、春先にくしゃみや鼻水が止まらなくなる症状についての記述が見られます。

これが花粉症だった可能性もありますが、当時は医学が発展しておらず、原因が花粉であるとは特定されませんでした。

また、当時の生活環境は現在とは大きく異なり、大気汚染も少なく、現代ほど症状が重くなることは少なかったと考えられます。

それでは、なぜ現代では花粉症の患者が増えているのでしょうか。

その大きな理由の一つとして、大気汚染の影響が挙げられます。

特に都市部では、自動車の排気ガスや工場の煙などが空気中に多く存在しており、これらの微粒子が花粉と結びつくことで、より強いアレルギー反応を引き起こしやすくなっています。

例えば、ディーゼル車から排出される微粒子は、花粉の表面に付着して体内に入りやすくし、アレルギー症状を悪化させることが知られています。

そのため、都市部に住んでいる人ほど花粉症になりやすい傾向があります。

日本の森林政策も花粉症の増加に影響を与えています。

戦後、日本では住宅や建築資材としてスギが大量に植えられました。

その結果、現在では多くのスギが成長し、春になると大量の花粉を飛ばすようになっています。

スギは植えてから30～40年ほどで花粉を多く飛ばすようになるため、戦後に植林されたスギが成熟したことで、近年の花粉量が増加しているのです。

このように、人工的な森林政策が花粉症の増加に影響を与えていることも忘れてはなりません。

さらに、現代人の生活習慣や食生活の変化も関係しています。

昔に比べて、現代では欧米型の食事が増え、免疫バランスが変化しています。

例えば、加工食品や高脂肪・高糖質の食事が増えたことで、腸内環境が悪化し、アレルギーを引き起こしやすくなっています。

また、ストレスの多い生活や睡眠不足も免疫機能に影響を与え、花粉症を悪化させる要因となっています。

昔の日本人は、味噌や納豆、漬物などの発酵食品を多く摂取しており、これらが腸内環境を整え、アレルギー反応を抑える効果を持っていたと考えられます。

しかし、現代ではこれらの食品を摂る機会が減り、結果として花粉症の発症リスクが高まっているのです。

それでは、現在花粉症ではない人が、将来的に花粉症になる可能性はあるのでしょうか。

答えは「はい」です。

花粉症は後天的に発症することが多く、今は大丈夫でも、ある年を境に突然症状が出ることがあります。

これは「アレルギーの閾値（しきいち）」と呼ばれる考え方によるものです。

人間の体は一定量のアレルゲン（花粉など）を蓄積すると、それを超えた瞬間にアレルギー反応を起こすようになります。

例えば、これまで何ともなかった人が、ある年に花粉を大量に浴びたことで花粉症を発症するケースは珍しくありません。

そのため、今は花粉症でなくても、油断は禁物です。

では、花粉症対策としてはどのような方法があるのでしょうか。

まず、基本的な対策として、花粉をなるべく体に取り込まないことが重要です。

外出する際にはマスクやメガネを着用し、花粉が直接鼻や目に入るのを防ぎましょう。

特に、花粉の飛散が多い日は、外出を控えることも有効です。

また、帰宅後は衣服や髪の毛に付着した花粉をしっかり払い落とし、すぐに手洗い・うがい・洗顔をすることで、体内に入る花粉の量を減らすことができます。

室内環境の管理も大切です。

窓を開けると花粉が入り込むため、換気は花粉の少ない時間帯に短時間で行いましょう。

さらに、空気清浄機を活用することで、室内の花粉を減らすことができます。

特に、花粉をキャッチしやすい高性能フィルターを備えた空気清浄機を使うと効果的です。

布団やカーペットには花粉が付着しやすいため、こまめに掃除をすることも重要です。

食生活の改善も花粉症対策の一つです。

腸内環境を整えるために、発酵食品や食物繊維を積極的に摂取するとよいでしょう。

例えば、ヨーグルトや納豆、キムチなどは善玉菌を増やし、アレルギー反応を抑える効果が期待できます。

さらに、DHAやEPAを含む青魚や、抗酸化作用のある緑黄色野菜も、免疫バランスを整えるのに役立ちます。

薬を使った対策もあります。

市販の抗ヒスタミン薬を服用することで、症状を軽減することができますが、症状が重い場合は、医師に相談し、適切な薬を処方してもらうのがよいでしょう。

最近では、舌下免疫療法という治療法もあり、長期間続けることで体質を改善し、花粉症の症状を和らげる効果が期待できます。

このように、花粉症の増加には環境の変化や生活習慣の影響が大きく関係しており、現代の日本では多くの人が悩まされています。

しかし、適切な対策を講じることで、症状を軽減し、快適に過ごすことが可能です。

花粉症は一度発症すると完治が難しい病気ですが、日常生活の工夫次第で症状を抑えることはできますので、早めに対策を始めることが大切です。